【Maxent】QGISを用いたMaxEntの生息適地図作成方法※初心者向け【QGIS】

※2021/08/01 バージョン3.16.9で動作確認・追記

※このブログでダントツに閲覧数が多い記事であり恐縮ですが、今見返すと粗が多々目につきます。『とりあえずMaxEntを動かす』という趣旨の為、大目に見ていただければと思います。


Arcなんて高級品、気軽に使えません。

しかしQGISのみでMaxEntのデータを用意する場合、手順を間違えるとすぐエラーとなってしまう為、一連の操作手順を書き出してみました。

自分は解析の専門家ではないので、統計手法やパラメータの種類など難しい事は偉い方々と一緒に考える、またはとにかく細かい事は一度動かしてから考えたい、という方向けの記事です。
QGISの操作に慣れている方は本家MaxEntのマニュアルを直接読むか、株式会社エコリスの操作方法https://www.ecoris.co.jp/technical/tec_tyousa/maxent.htmlや解析についての解説http://tmizu23.hatenablog.com/entry/20100414/1271240172等を読まれたほうが早くて正確だと思われます。

【解析条件】
QGIS:Ver.3.4.11

座標系:平面直角座標系(JGD2011の9)

解析対象:クマタカの確認位置(ダミー:丹沢湖周辺)×4地点。

FID xcoord ycoord
kumataka -72052.5 -62835.3
kumataka -70641.1 -62912.4
kumataka -69468.8 -62526.3
kumataka -68528.2 -63587.8

解析範囲:任意の範囲のSHPファイルを作成。今回は丹沢湖周辺とします。

環境データ
 高度:基盤地図情報より数値標高モデル(10Mメッシュ)をDL。
 平均傾斜角:国土数値情報よりDL。(標高のラスタから作成しても可)
 植生:環境省の自然環境調査Web-GISより1/25,000植生図をDL。

このほかに標高ラスタから地形指数(TPI)、傾斜方位なども用いることもできます。(その場合傾斜角も併せて標高から作成してしまったほうがいいですね)


【作業手順】
1.MaxEntインストール
 こちら(https://biodiversityinformatics.amnh.org/open_source/maxent/)からインストール。

2.解析対象の緯度経度csvを準備
 確認地点のポイントに「ジオメトリの追加」で緯度経度を追加。 

※ラインデータやエリアデータを使う場合は、一旦ポイントデータに変換してから座標を出します。
 保存した.dbfはExcelで開きなおして、名前を付けてcsv(カンマ区切り)形式で保存。

3.環境データの準備
 ・高度
  基盤地図情報より数値標高モデル(10Mメッシュ)をダウンロード。
  基盤地図情報ビューア(https://fgd.gsi.go.jp/download/documents.html)でSHPへ変換。

 ・傾斜
  国土数値情報よりSHPダウンロード 。
  データのスタイルが全て文字列(String)になっているため、環境データとして使用する平均傾斜角G04d_010の値を小数点付き数値(real)で追加します。

 ・植生
  環境省WebGISよりSHPダウンロード。

同じくデータのスタイルが全て文字列(String)になっているため、環境データとして使用する属性(今回はDai_C:植生大区分のコード)の値を小数点付き数値(real)で追加します。

以降環境データ共通操作

・プロジェクトとSHPの座標参照系を統一。(今回はJGD2011の9へ。)(環境省GISデータなどはWGSになっているので、まずWGSにしてから JGD2011 としてエクスポートします)

・解析範囲のSHPを用意し、各環境データのSHPをクリップ。
・各環境データをラスタへ変換。今回は解像度50m毎のラスタ、出力領域はクリップに用いた解析範囲のSHPレイヤとします。

※一時スクラッチレイヤの状態からラスタ化すると失敗することがあります。可能であれば逐一SHPを保存してからの変換をお勧めします。

・ラスタ化したデータは、.asc形式に変換して保存します。

なお、ここで一時スクラッチレイヤとして保存すると失敗することがありますので、名前を付けて保存をお勧めします。

4.MaxEntで読み込み、解析。

最低限①、②、⑤、⑥、⑦、⑩を設定すればあとはデフォルトの状態でも⑫解析の実行を行えます。

各項目の詳細はMaxentのマニュアルをご参照ください。

※調査範囲のclip範囲が環境データ毎で違っていたり、解析範囲でクリップする前にラスタ化してしまったり、環境データのメッシュサイズが違っていたり、座標系がcsvと違っていたりすると、全てエラーとなってしまう為、ご注意ください。

・結果が出力されたらChromeで開いて翻訳をかけると便利です。

今回の用意したクマタカの確認位置が、傾斜角と標高とは関連性がなく、植生環境のみで確認環境が左右されているということがわかりました。

これだけではいまいちピンとこないので、確認位置(.csvの座標)を標高の高い地点に変更してみました。

標高の貢献度がぐっと上がり過ぎ、それらしい生息適地図になりました。

あとは実際の環境や既存の生息情報等を確認しながら、どんなデータと解析方法を用いるかをトライ&エラーで検討していくのかなと思われます。

お疲れ様でした。


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